不動産取得税の概要

不動産取得税はその名称どおり、「不動産」を「取得」した人に課される「税」です。ここでいう取得とは、居住用・投資用の目的を問わず、購入、建築、贈与、交換によりその不動産の新しい所有者になることです。(相続による取得時は例外的に課税されません)

支払うタイミングは、不動産の取得後1度のみで、不動産名義の登記から約4~8か月後に郵送される納付書を金融機関やコンビニに持参して支払います。

不動産取得税については現在、戸建てやマンションといった居住用不動産の取得時には税額が軽減される措置がとられています。この特例は住宅取得・流通の促進を図ることを目的としていることもあり、基本的にほとんどの住宅取得において利用可能なものになっております。

 

○ 具体的な利用要件は以下のとおりです。(自身が居住するための住宅取得の場合)

床面積が50~240㎡の戸建または分譲マンションの取得

昭和57年以後に建築された不動産の取得(耐震性証明書※があれば昭和57以前でも可)

○ 上記2点を満たすことで建物にかかる不動産取得税の軽減を受けることが可能です。加えて下記の要件も満たしていれば、建物の敷地分についても軽減を受けられます。

【建物を新築した場合】

「土地取得後3年以内に建物完成」または「建物完成後1年以内に土地取得」

【既存建物の購入の場合】

土地、建物それぞれの取得日に1年以上の開きがない(取得順不問)  

※ 建築士等による耐震診断適合証明書(取得日前2年以内の診断によるもの)、既存住宅売買瑕疵保険の証明書(加入後2年以内のもの)、または耐震改修証明書(取得後6カ月以内に耐震改修を行い証明を受けたもの)

上記の軽減措置で要注意なのは「要件を満たしていても申告手続きをしなければ適用されない」点です。手続きを忘れていると軽減を受けられるにも関わらず、軽減されていないの税額で納めることになってしまい、いわゆる払い過ぎとなってしまいます。

申請手続きを忘れてしまう原因としては、

不動産業者やハウスメーカーから説明を受けていたけどうっかり放置していた

不動産の取得申告や徴収猶予の申告など不動産取得税に関するほかの手続きと混同して、軽減措置の手続きを完了していると勘違いしていた

など様々なケースが考えられます。逆に未申告かと思ったら購入時に業者側で手続きを済ませていることもあったりと、過払いになっているかどうかは実際に調べてみないとわからないことが多いです。もし払い過ぎていても不動産の購入時から5年以内であれば、過払い部分の還付申請が可能です。当事務所では払い過ぎているかどうかを無料で調査いたします。ご不安な方はぜひお気軽にご相談ください。

まず前提として不動産取得税の税額は下記の式で計算されます。

(建物が住宅の場合・2024年3月31日まで)

[建物] 建物の固定資産評価額×3%

[土地] 土地の固定資産評価額×3%×1/2

 

また軽減措置を適用したとき、以下の金額が課税額から控除されます。

(本来の計算式から可能な限り簡略化したものを記載します)


[建物] 取得した建物の建築年により異なります。

建築年

減税額

認定長期優良住宅の新築

39 万円

新築~H9.4.1

36 万円

H9.3.31~H1.3.31

30 万円

H1.3.31~S60.6.30

13.5 万円

S60.6.30~S56.7.1

12.6 万円

S56.7.1 以前

3~10.5 万円

[土地] いずれか高い方の金額

 

 ・45,000円

 ・土地にかかる不動産取得税額 ×

建物の床面積(㎡)の2倍(上限200㎡)

土地の面積(㎡)

これらを踏まえてシミュレーションをしていきます

● シミュレーション1

新築住宅(90㎡)を1500万円、土地(160㎡)を2100万円で購入し、

固定資産評価額が建物1000万円、土地1600万円とされた場合

(一般的に固定資産評価額は購入価格の7割程度といわれます)

 

【当初の税額】

建物 1000×3%=30(万円)

土地 1600×3%÷2=24(万円)(A)

 

【軽減措置による控除額】

建物 36(万円)

土地 24(A)×(180/160※)=27(万円)(>45000円)

 

【軽減後の税額】

建物 30-36=0(税額以上は控除されない)

土地 24-27=0(税額以上は控除されない)

 

結果 ➡ 54万円の納付だったところ全額軽減されて納付が不要に!

 

※180/160➔建物面積90×2/土地面積160

● シミュレーション2

中古戸建(築30年・120㎡)を300万円、敷地(300㎡)を700万円で購入し、

固定資産評価額が建物170万円、土地400万円とされた場合

(一般的に固定資産評価額は購入価格の7割程度といわれます)

 

【当初の税額】

建物 170×3%≒5(万円)

土地 400×3%÷2=6(万円)(B)

 

【軽減措置による控除額】

建物 30(万円)

土地 6(B)×(200/300※)=4(万円)

   <45000円のため45000円が適用

 

【軽減後の税額】

建物 5-30=0(税額以上は控除されない)

土地 6-4.5=1.5(万円)

 

結果 ➡ 11万円の納付だったところ95000円軽減されて15000円に!

 

※200/300➔建物面積120×2(上限200)/土地面積300